田原総一朗です。
参議院選が終わった。
自民党は114議席を
101議席に減らし、
公明党は27議席が21議席。
(非改選議席含む)
与党の過半数割れとなった。
与党は給付金、
野党は消費税廃止と、
物価高のもと、
国民生活への対策が
争点だと言われた。
しかし、僕は、
自民党が大きく議席を減らした
本当の原因はやはり、
裏金問題ではないかと思う。
裏金問題とは、
自民党は、
政治資金パーティーの
収益の一部を、
政治資金収支報告書へ
過少または記載していなかった
問題である。
政治資金規正法違反で、
数名の議員が起訴され、
麻生派以外の派閥は解散。
また、2024年6月19日、
改正政治資金規正法が成立した。
パーティー券の購入者の
公開基準額を現行「20万円超」から
「5万円超」に引き下げられるなど、
「透明化」したというが、
どう考えても甘すぎる。
裏金が必要な政治家は、
選挙に弱い政治家である。
選挙に強い政治家たちだって、
その必要性はよくわかっている。
だから批判もできないし、
党内でも資金集めのパーティを、
厳格に禁止できないのだ。
自民党は、
議員が政治倫理審査会で、
「弁明」したり、
また党が処分したことで、
国民は許してくれたと
思っているのだろうか。
だとしたら、あきれるばかりだ。
国民はまったく納得していない。
そこへ来ての物価高、
将来への不安……。
自民党は国民の不満に
鈍感すぎた。
石破首相が変えてくれると
期待したが、
既得権益に縛られて
変われない自民党に、
多くの国民が
愛想をつかしたのだ。
与党の議席が、
過半数割れしたことで、
思った通り、党内からは
「石破首相」下ろしの
声が上がっている。
しかし、首相を変えればいい、
という話ではないだろう。
「本の表紙だけ変えても
中身が変わらなければだめだ」
1989年、官房長官、
外相などを歴任した
伊東正義氏が、
自民党総裁に推された時、
こう答えて固辞した。
状況は違うが、
今の自民党にも
言えるのではないか。
石破首相が辞めたとしても、
自民党の中身が
変わらなければ、
意味はない。
今回、注目を浴びたのが
14議席を獲得した参政党だ。
「日本人ファースト」を掲げ、
外国人の規制強化を打ち出す。
トランプ大統領の
「アメリカ第一主義」に
通じるような主張を、
正直、僕は恐いと思った。
しかし、
参政党がなぜ人々の
心を惹きつけ、
ここまで多くの票を
獲得したのか。
政治家たちは、
特に自民党の議員たちは、
とことん分析し、
考えるべきだろう。
日本が間違った方向に
向うのを止めるのは、
与党の責任だ。
今回の投票率は、
約57.91%(日経新聞)。
前回2022年の参院選より、
5.9%も上がっている。
人々の政治への関心は
高まっているのだ。
しかし、自民党の支持は
減っているのが現実だ。
自民党は、
並々ならぬ危機感を持って、
全党で話し合うべきだ。
表紙だけではない、
「本気の変化」が必要だ。
石破首相には、
まさに捨て身でぶつかってほしい。